vol.13掲載日:2026年8月13日

タイの鉄道を知る旅<第1弾>
カンチャナブリ「クウェー川鉄橋」を歩く

~映画『戦場にかける橋』の舞台となったミャンマーとの国境近くの町で見た景色~

首都バンコクから2時間半。
緑豊かな国境近くの小さな町「カンチャナブリ」で歴史の足跡をたどる

バンコクの中心部から西へ約120㎞。電車に揺られること約2時間40分で、ミャンマーとの国境近くに位置する小さな町「カンチャナブリ」に到着します。
緑豊かな山間に抱かれた穏やかなこの町は、実は歴史の証跡となる戦争関連施設が多く残る場所でもあります。
今回、編集部はこの美しい自然の中にひっそりと佇む、カンチャナブリの歴史的スポットを巡りました。

映画の舞台となった「クウェー川鉄橋」

カンチャナブリを訪れたなら、必ず足を運びたいのがクウェー・ヤイ川に架かる「クウェー川鉄橋」です。
この橋は、1957年に公開されたデヴィッド・リーン監督の名作映画『戦場にかける橋(原題:The Bridge on The River Kwai)』の舞台として世界的に広く知られています。
映画自体は第二次世界大戦中の日本軍による鉄橋建設を題材としたフィクション映画です。
現在の橋は空爆で破損しましたが、日本側の戦後賠償や日本企業によって修復されました。

▲クウェー川鉄橋の全景

全長約320mのこの橋は、かつて総延長415kmにも及んだ泰緬鉄道用に建設されました。
元々は、旧日本軍がビルマ(現在のミャンマー)侵攻を目的に敷設したという歴史を持っています。
現在、旧泰緬鉄道の一部区間は、タイ国鉄の「ナムトック線」として今も現役で活躍しています。
バンコクの西側・トンブリー駅を起点にナムトックを結ぶ全長約200kmの道のりを、1日2本の定期便が走っています。
トンブリー駅からの所要時間は約2時間40分。どこか懐かしさを感じる、味のある古びた車両が旅情を誘います。

▲鉄橋は実際に歩くことができる

編集部が訪れた日はあいにくの小雨模様で気温も低めでしたが、それでも 「クウェー川鉄橋」 はたくさんの観光客で賑わっていました。
そして、この「クウェー川鉄橋」最大の目玉は、なんと言っても鉄橋の上を歩いて渡れる希少な体験です!
日本では鉄道用の橋を歩く機会なんてそうそうありませんが、ここでは自分の足で対岸まで渡り切ることができます。
さらに、橋の途中には列車が通過する際の「退避用待機スポット」が設けられています。
そこから間近で見る列車の通過シーンは迫力満点!
皆がカメラを構える絶好の撮影スポットでもあります。
遠目には無骨に見える鉄橋ですが、ひとたび足を踏み入れれば当時の面影が色濃く残っており、圧倒的な存在感を放っていました。

▲左:クウェー川鉄橋看板/右:退避用の待機スポット

決して忘れない記憶の場所

カンチャナブリの町の中には、「クウェー川鉄橋」以外にも訪れたい施設や観光地が点在しています。
私たち編集部も、第二次世界大戦や泰緬鉄道敷設という過酷な歴史を今に伝えている施設を訪ねてみました。

1JEATH戦争博物館(ジェース博物館)

▲第二次世界大戦時に実際に使われていた車両。旧日本軍の軍用荷物を運び、ミャンマーとインド間を走行していました

「クウェー川鉄橋 」から車で南東方面に走ること約10分(距離にして約5キロ)。
私たちの次なる目的地が見えてきました。
それが、第二次世界大戦中に日本軍によって敷設された「泰緬鉄道」の当時の様子を今に伝える場所「JEATH戦争博物館」です。
到着してまず目を引くのは、入場ゲートで私たちを出迎える古く錆びた機関車。
これは戦時下において、実際に日本軍の軍用品を運搬していたものだそうです。

ところで、皆さんはこの「JEATH」という特徴的な名前の由来をご存知でしょうか?
実はこの名前は、泰緬鉄道の敷設に関わった各国の頭文字を取って名付けられています。

♦J=JAPAN(日)
♦E=ENGLAND(英)
♦A=AUSTRALIA(豪)
♦T=THAILAND(泰)
♦H=HOLLAND(蘭)

▲過酷な鉄道敷設現場を再現した展示

▲武器や兵士の装備品の展示

さらに私たちは、交差する時代の面影と鉄塊の匂いを感じながら館内の奥へと足を進めました。
奥には、日本軍の陸軍軍人を紹介するパネルや、鉄道敷設に従事させられた捕虜の様子、そして戦争で実際に使用されていた武器や兵士の装備品なども展示されていました。
その中でも特に注目したいのが、等身大の人形による鉄道敷設の過酷な作業現場の再現と、その作業風景を収めた貴重な写真の展示です。

▲左:第二次世界大戦時の各国の主要指導者たちの紹介/右:日本からは東条英機が紹介されている

屋外の展示も多く、展示物や展示方法にはやや古さや荒さを感じる部分もありましたが、かえってそれが当時の匂いや空気感を伝えているようにも思えます。
規模も大きな博物館ではありませんので、1時間もあれば館内をゆっくり見ることができます。
カンチャナブリを訪れた際は、クウェー川鉄橋と併せてみておきたい場所です。

住所
Ban Tai, Muang Kanchanaburi, Kanchanaburi 71000 Thailand
電話
+66 034 512 721
営業時間
Open 08:30- Close 16:30
定休日
無し
入場料
THB 50

2連合軍共同墓地

JEATH戦争博物館から北へ車で約5分(距離にして約2キロ)。
常に美しく管理されたこの芝生の上には、6,982人もの連合軍捕虜の墓石が整然と並んでいる光景がありました。
ここで眠る人々は泰緬鉄道の建設における過酷な労働環境や蔓延する疫病のため、尊い命が犠牲となった人々です。
墓石に刻まれた方たちの年齢を見るとみな若い方ばかり。
とても深く考えさせられる時間でした。
静寂に包まれたこの特別な場所では、世界中から寄せられた「平和への祈り」が途絶えることなく捧げられていました。

住所
Saeng Chuto Road, Kanchanaburi 71000 Thailand
営業時間
Open 08:30- Close 17:00

3カンチャナブリ慰霊塔

▲緑豊かな静かな場所に佇む慰霊碑

一連の施設を巡った後、私たちが最後に立ち寄ったのが1944年2月に旧日本軍鐡道隊によって建てられた慰霊塔です。
クウェー川鉄橋の東側にひっそりと佇んでいます。
この慰霊塔が建立された目的は、鉄道建設中に犠牲となった連合軍の捕虜、日本軍将校、そして建設に従事した現地の人々の御霊を弔うため。 国籍や立場を越え、この地で尊い命を落としたすべての御霊を慰めるために建てられた慰霊碑です。
現在は、タイの日本人会が管理しているそうで毎年3月には慰霊祭が執り行われているということでした。

住所
Ban Tai, Muang Kanchanaburi, Kanchanaburi 71000 Thailand
営業時間
Open 08:00- Close 17:00
定休日
無し
入場料
無料

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4旅の終わりに

緑豊かな美しい自然環境、そして想像だにできない過酷な軍事輸送路の建設現場だったという重い歴史の記憶。
ここカンチャナブリは、その二つの顔を持つ小さな町でした。
バンコクからのアクセスも良く、バンコク発着のオプショナルツアーなどでも訪れることのできるカンチャナブリ。
もちろん個人旅行でも訪れることができ、日帰り観光も週末の小旅行にも最適な場所でした。
カンチャナブリは、ただ純粋に自然の景色を楽しむだけも価値があり、そして過去の歴史に触れ平和の尊さを改めて見つめなおすこともできる。
そんな心に刻む旅を求めている方にぜひ訪れていただきたい場所です。

コラム “人に話したくなる旅” 編集部

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