vol.11掲載日:2026年7月17日
まだ見ぬ台湾に出会う旅、台中市を歩く<前編>
台北から南に向かうこと約160㎞。そこには人口300万人の台湾第二の都市・台中市があります。
台湾の中でも温暖な気候を持ち、年間の平均気温は23℃前後。他の地域と比べ降水量も少ない都市として知られています。
日本各地から直行便が就航している台北や高雄を訪れた方は多いと思います。
実はここ台中も少し前から、成田空港と台中を結ぶ直行便が週4便も就航しておりさらに身近な存在になってきました。
▲高美湿地の夕景
このように日本からも気軽に訪れることのできる台中市ですが、まだまだ私たちの知らない魅力がたくさん詰まった街でもあります。
地形的に東西に長い台中市は、近代的な都市部もありながら少し足を延ばせば自然豊かな景色にも触れることができます。
台湾最大の天然淡水湖「 日月潭(リーユエタン)」、そして台湾のウユニ塩湖とも呼ばれている広大な干潟 「高美湿地(ガオメイシーディー)」などは、近年世界中の旅行者の視線を集めています。
さらに台中市内から車で約1時間半の秘境・台湾中央山脈の麓には老舗の温泉郷「谷関(グーグァン)」があります。
谷関とは湯量と湧き水がとても豊富なことで知られる台湾屈指の温泉郷、ここには大型のリゾートホテルが数多く立ち並んでいます。
日本からも星野リゾートが展開するラグジュアリーブランド「星のや」が開業しており、台湾にある20以上の有名温泉地の中でも特に注目を浴びる温泉郷の一つとなっています。
また台中は、台湾新幹線(台湾高鐵)を使って台北や高雄からの日帰り観光も可能な街です。
両市から台中までの乗車時間は約45分。車窓から広がる山々や丘陵風景を眺めているとあっという間に台中に到着します。
▲台中駅の新幹線ホーム
少しだけ駅に関して補足しておきます。
台北や高雄からの日帰り観光では欠かすことのできない台湾新幹線。
利用の際には一つだけ駅に関して気を付けなくてはならないポイントがあります。
それは、台湾新幹線(台湾高鐵)の台中駅と、在来線である台湾鉄道(台鉄)の台中駅は同名の駅ではありますが、場所が全く異なるという点です。
関東で例えるなら「新横浜駅」と「横浜駅」のような感じです。
新横浜と横浜は直線距離で約5㎞ですが、二つの台中駅は約9㎞も離れており両駅は在来線で行き来することができます。
具体的には、台湾新幹線の台中駅からは隣接している台湾鉄道の駅・新烏日駅で在来線に乗り変え台湾鉄道の台中駅を目指します。
在来線の乗車時間は約10分。
二つの駅の場所は異なりますが、上記の乗り換え方法で簡単にアクセスが可能となります。
今回のコラム「人に話したくなる旅」は、台中市の魅力を前編・後編に渡ってお届けいたします。
前編となる今回は、台中観光における人気スポットの一つでもある郊外に建つ豪族の邸宅跡を訪ねます。
そこで目にしたものは、地場の権力者たちの想像だにしないスケールの大きさでした。
そして市内中心部では市民の台所である「台中第二市場」を訪ねます。
そこでは市民の胃袋を満たす、安い早い旨いの三拍子が揃った「市場グルメ」をレポートしたいと思います。
▲旧台中駅舎
さらに次回の後編では、台中市内にある日本統治時代の面影を辿る旅。
今もなお大切に守られている国定旧跡・旧台中駅舎を訪ねます。
2016年に駅舎の建て替えによりその役目を終えた旧台中駅舎ですが、現在は新たに商業施設と生まれ変わり世界中から訪れる人々を出迎えています。
旧駅舎以外にも、街を歩けば台中には日本と深い関りのある施設がたくさんありました。
そんな奥深い歴史をもつ台中の街を歩き、編集部のおすすめのスポットを紹介して参ります。
1霧峰林家花園
~豪族の大邸宅に遺る私設劇場、百年前の喝采に耳を澄ます~
台湾新幹線(高鐵)の台中駅14番のバス乗り場から路線バス151番・朝陽科技大学行きに乗りこみます。
今回はここから少しだけ郊外に位置する「霧峰」という場所を目指します。
バスに乗車している若者の多くは、目的地近隣にある朝陽科技大学の学生の皆さん。
▲151番・朝陽科技大学行き
バスに揺られること約40分。
目的地近くにある「霧峰」バス停で下車しました。
当初はここまで約25分で着くはずでしたが予期せぬ渋滞にはまり少しだけ時間がかかってしまいました。
降りたバス停から路地裏を歩き、なだらかな坂道を5分ほどのぼっていくと今回の目的地である「霧峰林家」に到着です。
早速、チケット売り場で入場券を購入し専用ゲートから入場します。
▲左:チケット売り場/右:専用ゲート
今回私が訪れたこの場所は、台湾の五大豪族の一つである「霧峰林家」の邸宅と庭園です。
霧峰林家の邸宅と庭園は、台湾で最も保存状態が良いとされており台湾国定古跡に認定される大変貴重な伝統建築群です。
ここの主である林家は1946年に中国の福建省からこの地に移り住みました。
その後、林家の三代目である林甲寅がここ「霧峰」を拠点に商いを始めます。
林家の商いは成功を収めその後何代にも渡りこの地で栄華を極めます。
現在はその林家の邸宅と庭園が復元され一般に公開されています。
▲左:舞台を囲む2階建ての客席/右:私設舞台「大花庁」
一般公開されているのが、主に三か所ほど。
まず邸宅部分として使われていた「宮保第」、そして演劇を上演するために作られた舞台「大花庁」、そして庭園である「莱園」です。
その中でも、舞台「大花庁」はこの施設のハイライトでもあります。
過去には、日本のアーティストもここでミュージックビデオを撮影したことによりさらに注目度がアップしました。
当時、豪族などの富裕層達は舞台鑑賞などを自宅で行っていたため邸宅内に自前の舞台を持っていました。
自宅に舞台があるとは、とてもスケールの大きな話です。
▲左:舞台の随所に施された繊細な装飾/右:林家の家系表
その中でもこちらの霧峰林家が建てた舞台は客席が2階建ての構造になっており、せり出した舞台を観客席がぐるりと囲んでいます。
大変迫力ある構造とは対照的に舞台の隅々まで伝統的な彫刻や細工が施されており繊細さも感じます。
今から約百年前、この厳かな舞台で役者が演じ演奏家が音楽を奏で、そして多くの喝采を浴びていたことを想像するだけで胸が熱くなります。
現存する邸内舞台でこれほど保存状態が良いものは残っていないということです。
しかも驚くことに、この貴重な舞台は現役で活躍しており演劇イベントでも使われているとの事。
台中市内からは少しだけ郊外にはなりますが、ぜひ足を運んでいただきたいスポットの一つです。
- 住所
- 台湾台中市霧峰区萊園路91号
- 電話
- +886 4 2339 1761
- 営業時間
- Open 09:00- Close 17:00(平日12:00~13:00休憩)
- 定休日
- 年中無休
- 入場料
- NTD250(大人)/NTD125(小人)
2台中第二市場
~食い倒れ市場! 日本統治時代の面影を残す市民の台所~
台中市中区にある「台中第二市場」。
在来線の台中駅から約1㎞の距離で徒歩10分ほどで到着します。
近代的なビルが立ち並ぶ台中市内において、そこの一角だけはゆっくりと時を刻んでいるように見えます。
ここに建つのは1917年の開場から既に100年以上の歴史をもつ公設市場です。
レンガ造りの外壁が美しい歴史的建造物。
かつての日本統治時代には高級品などを扱っていたこともあり「新富町市場」や「日本人の市場」とも呼ばれたいた歴史もあります。
現在では、100店舗以上が集い台湾の名物グルメや食文化を堪能できる市場として生まれ変わっています。
▲台中第二市場でも人気の店 山河魯肉飯
▲左:山河の名物の魯肉飯/右:店内の様子
ここには食堂も併設されており、台中市民の胃袋を満たす市場グルメを楽しむことができます。
なかでもお試しいただきたいのが台湾のソウルフードである「魯肉飯」。
市場内には魯肉飯を出すお店はいくつかありますが、編集部おすすめのお店は「山河魯肉飯」。
一般的な「魯肉飯」と言えば豚肉を細く切って甘辛の醤油で煮込みそれをホカホカのご飯にのせた丼ものを指します。
八角などのスパイスもポイントとなり肉の旨味と甘辛のたれが絡み合って食欲をそそられるソウルフードです。
しかしこのお店で出てくる「魯肉飯」は見た目がかなりのインパクト。
肉の塊がご飯の上に乗っています。
まさに豚の角煮丼!!
当然お肉の塊ですから、一口かみしめると豚肉の脂身からでる甘さと肉本来の旨味がバランスよく口の中で調和されます。
さらにお店独自の醤油ベースの甘辛タレが絶妙にマッチしておりこの上ない一品に仕上がっています。
断然白米がすすみます。
しかもサイズがほどよく、色んな物をたくさん食べてみたい人向きの適量に仕上がっています。
▲左:台湾のソウルフード坦仔麺/右:空心菜の炒め物
更に向かいにある「聡明三代坦仔麺」ではこれまた台湾のソウルフードで、台南が発祥と言われている麵料理「坦仔麺」もいただくことができます。
このお店の「坦仔麺」は、ほどよい塩味のあっさりとしたスープ。
魚介や鶏ガラなどでだしを取っているようです。
もちもちした麺の上にはつみれともやしが添えられています。
こちらの坦仔麺は豚のひき肉などは入っておらず、その分スープも油っぽくなりません。
それ以外にも、数種類のお惣菜が並んでおりお好みで注文することができます。
慢性野菜不足の私は、空心菜の炒め物をいただきました。
▲市場の中にある廟「武德宮」
市場内には台湾スイーツのお店や新鮮なフルーツや海鮮のお店など様々な市場グルメを楽しむことができます。
14時半ごろには店じまいするお店もちらほら見られますので、お出かけになる際は時間を気にしながら訪れましょう。
市場に一歩足を踏み入れれば、台中市民の食の文化に触れることができるかもしれません。
- 住所
- 台湾台中市中区三民路二段87号
- 電話
- +886 04 2225 4222
- 営業時間
- Open 07:30- Close 15:00(施設・店舗に準ずる)
- 定休日
- 月曜日
3春水堂人文茶館四維本店
~住宅街にたたずむ、タピオカミルクティの発祥の地を訪ねる~
台中駅から西に約1.5Kmの静かな住宅街。
駅からここまで徒歩15分。
この場所にたたずむこじんまりとしたお店は、青い瓦屋根が目印の日本でもお馴染みのお茶専門カフェ「春水堂」の本店です。
現在、日本やアジア圏を中心に広く親しまれている「タピオカ入りミルクティ」。
実はここ台中にあるこの小さなお店から世界に羽ばたいていったことをご存知でしょうか?
今ではこの小さなお店を目当てに毎日多くの観光客が訪れている名店となっています。
春水堂の「タピオカ入りミルクティ」誕生秘話に関しては諸説あるようですが、一説には創業者の方が日本のアイスコーヒーに着想を得て開発したともいわれています。
その後、1983年には店名を「陽羨茶行」から「春水堂」に改名し、現在は台湾全土に50店舗以上を展開中。
そして日本にも2013年に東京・代官山に初上陸しその後関東を中心にその数全国で13店舗まで拡大しています。
私が訪れたのは午後2時半。
春水堂本店の「タピオカ入りミルクティ」をどうしても飲んでみたいというミーハーな思いに駆られ、噂に聞いていた大行列も覚悟して本店に向かいました。
お店に到着すると既に店舗の外まで順番待ちの人たちで溢れかえっていました。
表にある機械で予約伝票を発行します。
既に入店の順番を待っているお客さんの多さに、私は店内での飲食を諦め、テイクアウトとしてオーダーしました。
それでも実際に商品を受け取ったのがオーダーしてから約30分後。
さすがの人気店と言わざるを得ません。
出来立ての「タピオカミルクティ」に太いストローを刺し、早速一口飲んでみました。
口の中では香り豊かな紅茶とミルクの優しい甘さが絶妙に調和され、一緒に吸い上げたタピオカの食感もプチプチと弾力があってさすが人気店の一品でした。
味に関しては正直言って春水堂であればどこのお店でも同じかもしれませんが、「タピオカ入りミルクティ」発祥のお店ということで春水堂ファンの方や「タピオカ入りミルクティ」好きの方は一度訪れてみてもいいかもしれません。
また、こちらの春水堂では「タピオカミルクティ」以外にもバラエティ豊かなメニューが用意されておりご飯物や麺類、薬膳スープなども楽しむことができます。とにかく人気店ですので、待ち時間覚悟の上で足を運んでみてください。
- 住所
- 台湾台中市西区四維街30号
- 電話
- +886 04 2229 7991
- 営業時間
- Open 08:00- Close 22:00
- 定休日
- 年中無休
コラム “人に話したくなる旅” 編集部
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TRAVEL COLUMN
旅のコラム “人に話したくなる旅”
- VOL.01コラム”人に話したくなる旅”はじまります
- VOL.02人気のビーチリゾート・ダナンを歩く<前編>
- VOL.03人気のビーチリゾート・ダナンを歩く<後編>
- VOL.07アジアの人気観光都市・台北市を歩く<前編>
- VOL.08アジアの人気観光都市・台北市を歩く<中編>
- VOL.09アジアの人気観光都市・台北市を歩く<後編>
- VOL.10アジアの人気観光都市・台北市を歩く<グルメ編>
- VOL.11まだ見ぬ台湾に出会う旅、台中市を歩く<前編>
- VOL.12まだ見ぬ台湾に出会う旅、台中市を歩く<後編>
