vol.09掲載日:2026年6月15日

アジアの人気観光都市・台北市を歩く<後編>

台北郊外にある人気の温泉街・北投温泉。地元の方はもちろんですが、最近は海外からの観光客も足をのばす人気の温泉街です。
泉質が最大の魅力ですが、自然豊かな温泉街に観光客を魅了する観光スポットもありました。
こじんまりした温泉街の見どころをご紹介します。

更に、台湾の中心部には一度は訪れたい人気の観光スポットも数多くあります。 編集部では、その中から3つの厳選スポットをご紹介いたします!

1北投温泉 ~台北中心部から鉄道で35分。ノスタルジックな癒やしの郷「北投温泉」へ~

▲左:新北投駅構内にあるオブジェ/▲右:MRT新北投駅

台北滞在でもう一つ楽しみを見つけるとしたら皆さんは何を選びますか?
夜市での台湾グルメや、活気あふれる街歩きはもちろんですが、私たち編集部がおすすめするもう一つの楽しみ方。
それは温泉です。
以外に知られていませんが、台北市内から北へわずか35分。
ゆったりと時間が流れる癒しの場所があるのをご存知でしょうか?
台北郊外の大屯山麓にひっそりと佇む温泉街「北投」(べいとう)。
その街で「あえて温泉宿でゆったり過ごす」そんな選択肢もご紹介します。

▲MRT新北投駅/▲右:新北投駅構内にあるオブジェ

北投温泉の最大の魅力はなんと言ってもそのアクセスの良さです。
「台北駅」からMRT淡水信義線(赤色)で、途中「北投駅」で乗り換え、一つ先の駅「新北投駅」が最寄り駅となります。
車窓から見える景色も、都会の街並みから少しずつ緑に変わっていきます。
台北駅からここまでの所要時間はわずか35分。乗車料金もTWD35(≒175円)と気軽に訪れることができるのです。

駅に降り立つと、そこは豊かな自然に囲まれた緑あふれる温泉街。
どこか雰囲気が懐かしく、なんとも言えないレトロ感が漂っています。
それもそのはず、北投温泉は日本の統治時代に開拓された歴史を持ち、街のいたる所に日本の温泉街を彷彿とさせる面影を見ることができます。
また、台北から乗ってきたMRTの近代的な駅舎とは対象的に、真横には日本の統治時代の旧駅舎が今も保存状態よく残されています。

<3つの泉質を堪能できる至福の湯めぐり>

温泉が好きな方にとってのこだわりの一つ、それは豊かな泉質です。
この北投温泉では、なんと三つの異なる泉質を楽しむことができるのです。
①白硫黄泉:白濁したお湯が特徴。殺菌力が高くお肌にも優しいと言われている。日本では蔵王温泉(山形県)、万座温泉(群馬県)などが有名。
②青硫黄泉:世界的も珍しいとされているエメラルドグリーンに輝く強酸性のお湯。世界的にもここ北投温泉と玉川温泉(秋田県)にしかない酸性ラジウム泉。
③鉄硫黄泉:鉄分を含み、赤褐色をしたお湯。殺菌・保温・貧血改善など高い療養効果が期待できる泉質。
これらの恵まれたお湯を求めて、地元の方はもちろん海外からの観光客も足を運んでいるのです。

<旅のスタイルに合わせた多種多様な宿>

▲日勝生加賀屋旅館

▲左:熱海大飯店/▲右:水美温泉會館

北投温泉には、高級志向のリゾートからお手頃価格のお宿まで、北投駅前から様々な温泉旅館やホテルが立ち並んでいます。
少し長めの滞在で、本格的な温泉療養をしたりのんびり過ごすのもおすすめですし、忙しいトラベラーには日帰り温泉もおすすめです。
中でも注目したい旅館が、石川県・和倉温泉の名旅館「加賀屋」が展開する「日勝生加賀屋」です。北投駅から徒歩5分。
台湾にいながらにして、日本式のおもてなしの心と上質な日式(日本式)の温泉旅館を体験できる贅沢は特別な旅の思い出となることでしょう。
私も、少々お値段はしましたが今回の旅の疲れをいやすために、日帰り利用で日勝生加賀屋の日式大浴場を堪能させてもらいました。
スタッフの方も日本式のお着物で丁寧にお客様をお出迎えされており、日本のおもてなしを感じることができました。

<温泉街の街歩きでみつける、ローカルな朝の風景>

▲日本家屋の瀧乃湯温泉

▲台北市立図書館北投分館

▲台北市立図書館北投分館

▲北投公園露天温泉浴場(工事により休館中)

宿泊した翌朝は、ぜひ早起きして温泉街の散策をしてみてください。
温泉街の中心には「七星公園」や「北投公園」があり朝の散歩がおすすめです。
私が訪れた日の朝、緑が生い茂る北投公園では、地元の方々が集まりゆっくりと太極拳をしている光景を目にしました。
公園以外にも世界の美しい公立図書館の一つである「台北市立図書館北投分館」や温泉の歴史を学べる「北投温泉博物館」などいろんな楽しみ方があります。
そんなローカルな日常に触れられるのも、この街を訪れるからこその醍醐味でした。

<北投温泉博物館 北投温泉公共浴場が温泉博物館に生まれ変わる>

▲北投温泉博物館

▲左:下駄箱:懐かしい風呂屋錠/▲右:男性用大浴場跡

新北投駅から中山路のゆるやかな坂道を歩くこと約5分。
緑豊かな北投公園内にある「北投温泉博物館」に到着です。
現在の博物館であるこの建物は、1910年(明治43年)に建設が始まり1913年に「北投温泉公衆浴場」として開業した歴史があります。
建物の設計は、本コラムで既にご紹介している建築家の森山松之助氏。
木造屋根と赤レンガの外観は日本の銭湯や公衆浴場とは一線を画す、モダンで華やかな雰囲気を放っています。
入場の列に並び自分の順番になると、係の方に靴を下駄箱に預けスリッパに履き替えるように案内されます。
驚くことにその下駄箱は、日本の銭湯でお馴染みの「風呂屋錠(木札の鍵)」スタイル。
靴を入れて木札を抜くあの瞬間がここ台湾の地で味わえるなんて、なんとも粋な演出でした。

▲畳48畳の大広間

住所
台湾台北市北投区中山路2号
電話
+886 2 2893 9981
営業時間
Open 10:00- Close 18:00(最終入場 17時45分)
定休日
月曜日
入場料
無料

<新北投駅(旧駅舎)、大正5年に建てられた110年の歴史をもつ駅舎>

北投の歴史を語る上で欠かせないもう一つスポットが、かつての駅舎を復元した台鉄の「新北投駅」です。
大正時代にタイムスリップしたかのような気持ちにさせてくれます。
この台鉄の新北投駅は、日本統治時代の1916年(大正5年)に開業した木造の駅舎です。
現在は、MRT新北投駅の隣にある「七星公園」内に復元され2017年から当時を伝える資料館として公開されています。

住所
台湾台北市北投区七星街1号
電話
+886 2 2891 5558
営業時間
Open 10:00- Close 18:00
定休日
月曜日

2台湾総統府 ~「台湾総統府」で触れる歴史と民主化の軌跡~

MRT淡水信義線(赤色)「台大病院駅」の出口1番を上がり、市民の憩いの場である緑豊かな二二八和平公園を通り抜けます。
駅からゆっくり歩く事約10分。
目の前に堂々たる威容を誇る壮麗な建築物が現れました。
台湾の総統が執務を行う公邸「台湾総統府」です。

私が訪れたこの日は快晴で、青空に鮮やかに映える赤レンガと白い石の鮮やかなコントラストが印象的でした。
この美しい建築物を見ると、私たち日本からの旅行者はどこか見覚えのある親しみやすさを感じます。
それもそのはず、このデザインは東京駅などで知られる通称「辰野式」。
設計を担当したのは、建築家・辰野金吾氏の門下生であった森山松之助氏と野村一郎氏。
当時の最新技工が惜しみなく導入され、1919年(大正8年)に完成しました。

日本統治時代には「台湾総督府」として建設されたこの建物は、2019年に築100年という大きな節目を迎えました。
日本と台湾の深い関りを今に伝える、歴史的にも極めて貴重な建築物です。
台湾の民主化以降、この権威ある台湾の最高機関の一部は一般公開されておりだれでも見学することができます。

▲北側にある入場口

見学する場合は、寶慶路と博愛路の交差点付近にあるゲートから入場することができます。
入場に際しては、パスポートなどの身分証明書を必ずお持ちください。
台湾の最高機関の施設ですので、空港さながらの厳重なセキュリティチェックを受けます。
私は飲みかけのドリンクを持っていましたが、係の人から日本語で「一口飲んで!」といわれて目の前で飲んだら入場を許されました。
液体物などをお持ちの場合は注意が必要です。
検査を抜けると入館許可証としてステッカーが渡されるので胸などの見える場所に貼りましょう。

内部には観光客以外の見学者も数多く訪れていました。
様々な展示を見ながら館内を歩いて行くと、とても心に残る光景がありました。
それは、小学生ぐらいの現地の子どもたちが大勢見学に訪れており、引率の先生と共にガイドさんの説明を熱心に聞き入っている姿でした。
真剣なまなざしで台湾の歴史を学ぶ彼らの姿を通して、現地の子どもたちにとってはここは生きた歴史教育の場でもあるのだと感じました。

現在一般公開されている常設展示エリアでは、台湾が歩んできた長く険しい民主化の道程や、今日に至るまでの激動の歴史を体系的に見ることができます。
かつては統治の象徴であったこの建物が、現在では市民や観光客に広く開かれ、そして未来を担う台湾の子どもたちが民主主義の歩みを学べる場となっていました。

▲総統府の中庭

台北を訪れた際は、ぜひ少しだけ足をのばしていただき、この美しい赤レンガの台湾総統府に向かってみてください。
そこには、100年の歴史の重みとともに台湾の人々の誇りと未来への希望を垣間見ることができます。

住所
台湾台北市中正区重慶南路1段122号
電話
+886 2 2311 3731
営業時間
Open 09:00- Close 12:00(最終受付 11:30)
定休日
土日祝日
入場料
無料

※入場の際にパスポートなどの身分証明書(IDカード)が必要。ドリンクなどの液体物の持ち込みにも注意。
最寄り駅:MRT「台湾大学病院駅」1番出口より徒歩8分

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3龍山寺
~台北発祥の地「萬華地区」、人々の祈りと龍が舞う台湾最古の寺院へ~

台北の街歩きを楽しんでいると、時が止まったような場所に出会うことがあります。
かつて「艋舺(もうこう / ばんか)」と呼ばれた台北発祥の地、萬華地区。

余談ですが、台北の中心地である台北駅を走るMRTは板南線(藍色)と淡水信義線(赤色)の二路線。
どちらの路線も有名観光地にアクセスしやすいため台北滞在中に利用頻度が高い路線になります。

そのうちの一つであるMRT板南線「龍山寺駅」を降り、地上へ向かうとそこにはどこか懐かしい下町の風景が広がっていました。
軒を連ねる仏具店や貴重な骨董品のお店。
伝統工芸品を扱うお店も並んでいました。 この街を行き交う人々の活気と古き良き台北の情熱が混ざり合うこの街のシンボルこそが、今回ご紹介する台北最古の寺院「龍山寺」です。

龍山寺の門をくぐると、まずはその圧倒的な装飾美に目を奪われます。
1738年の創建から約270年。1919年の大規模な改修を経て、現在の芸術的な姿へと至りました。
龍山寺を上空から見ると「回」の字を描くように配置された前殿、本殿、後殿。
それらを繋ぐ回廊を歩けば、至る所に精巧な彫刻を見ることができます。
特に圧巻は、天井を見上げた先にある「螺旋藻井」。
全く釘を使わずに、1600体もの龍の像が天に昇るように装飾されたその意匠は、言葉を失うほどの迫力に満ちていました。

この寺院には、人々の信仰を支える「奇跡」の逸話も残っていました。
第二次世界大戦の空襲により、正殿が大きな被害を受けた後、本尊である観世音菩薩だけが、不思議なことに無傷のまま立ち尽くしていたといいます。
それ以来、どんな困難な時代にあってもこの場所は人々の心の拠り所であり続けています。

龍山寺を訪れて感じたことは境内の「熱気」でした。
静寂が支配する日本の寺院とは異なり、ここは常に地元の人々の祈りの声で満ちている特別な空間でした。
熱心に経典を唱える人、長いお線香を掲げて深く頭を下げる人。
日本ではあまり見ないお供え物や、台湾式のおみくじで赤い木片を床に落とす「ポエ(筊杯)」を行う人々。
因みにこの 「ポエ(筊杯)」 ですが、大きな箱に赤い木片が置いてありますのでどなたでも体験が可能とのことです。

私が訪れた日は、柔らかな日差しが境内に差し込み、時折、建物の隙間から清らかな風が吹き抜けていました。
都会の真ん中にあるパワースポット龍山寺。
そこには270年の歴史が紡いだ祈りと、今を生きる人々の生命力が共存してました。
自分自身と深く向き合うような特別な時間をもらえる龍山寺、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

住所
台湾台北市萬華区廣州街211号
電話
+886 2 2302 5162
営業時間
Open 06:00- Close 22:00
定休日
年中無休
拝観料
無料
最寄り駅
MRT「龍山寺駅」1番出口より徒歩1分

4中正紀念堂
~圧倒的なスケールに息をのむ、必見の台北定番スポット~

活気あふれる夜市に、台湾グルメ、そして街を歩けばどこか懐かしい街並みが続く。
魅力が尽きない街・台北を訪れる旅行者のほとんどが必ずと言っていいほど一度は足を運ぶ定番の人気スポットがあります。
それが、台北の中心部に堂々と鎮座する「中正紀念堂」です。

MRT松山新店線(緑色)淡水信義線(赤色)が通る「中正紀念堂駅」から徒歩2分。
台北観光の定番中の定番でありながら、訪れるたびに新鮮な感動を与えてくれるこの名所の魅力をご紹介します。

まずこの場所を訪れた際に誰もが最初に驚かされるのがその桁違いのスケール感です。
実際に訪れた方はお分かりになるかもしれませんが、敷地面積は約25万㎡。
なかなかピンときませんが、何と東京ドーム約5.3個分にも及ぶ広大な空間が目の前に広がります。
まずは見上げるほどの巨大な正門、手入れがとても行き届いた左右の庭園。
そしてその奥にそびえ立つ白亜の紀念堂。
建物の大きさから空間の広がり方まで、その見るもの全てが規格外でありどこを見ても壮観の一言に尽きます。

もちろんスケールだけではなく台湾が歩んできた長い歴史と深く結びついている観光地でもあります。
名称にある「中正」とは、中華民国の初代総統である蒋介石の本名「蒋中正」から由来しています。
1975年4月5日に心臓の病でこの世を去った蒋介石を哀悼するために、翌年の1976年10月31日に中華民国政府・行政院によって建設が開始されました。
そして、逝去から5年後の命日にあたる1980年4月5日に人々に広く開放されています。

また、意外と知られていないのがこの土地の成り立ちです。
実はこの広大な敷地はかつて日本軍の軍用地として使われていた歴史を持っています。
時代とともにその役割を大きく変え、今では世界中から人が集まる平和と祈りの象徴となっていることに深い歴史の魅力を感じずにはいられません。

ちなみに訪問時のワンポイントアドバイスとして、交通の便も良く見ごたえも十分な中正紀念堂ですが、訪れる際に気を付けていただきたいことがあります。それは「日焼け対策」です。
全体がとても広大で開放的な空間ゆえに、天気が良い日はもちろん曇りの日でも紫外線対策を忘れずに。
晴天の日は、日差しを遮る日影がほとんどありませんので、南国・台湾の強い太陽の光を直接浴びることになるため日焼け止めはもちろん日傘などを持参して紫外線対策を心掛けてください。

住所
台湾台北市中正区中山南路21号
電話
+886 2 2343 1100
営業時間
Open 09:00- Close 18:00
定休日
一部の祝日
入場料
無料
最寄り駅
MRT「中正紀念堂駅」5番出口より徒歩2分

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コラム “人に話したくなる旅” 編集部

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